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研究内容

リーン/アジャイル生産(日本の生産管理技術の発展型)
  これは、日本の製造業の強みを調査分析したマサチューセッツ工科大学グループの研究成果(1990年頃)に端を発した研究分野で、無駄の少ない効率的な物作りや、多様なマーケットニーズに迅速、機敏に対応するには、どのような組織、生産システムが望ましいかを検討しようというものです。世界的な動きをみると、このテーマを専門に扱う研究組織(例えばヨーロッパにおけるLean Enterprise Research CentreやアメリカにおけるAgility Forum)も創設され、日本の製造管理技術の捕捉と拡張のための研究活動が積極的になされてきた経緯があります。
 当研究室では、このテーマの一環で、自動車産業や電機産業等で多く用いられている混合品種ライン生産システムや品種切替型ライン生産システムのデザイン及びその効率的運用法の開発と評価に取り組み、得られた研究成果情報を国際会議や国際学術誌を通して発信しています。
グローバル・ロジスティクス(生産物流オペレーションの国際分業))
  生産物流活動に関わる最近の急激な国際的広がりに伴い、物流関連企業や各製造業界は「異なる文化圏、発展途上国において工場や物流システムをどのように設定、構築していけばよいか」また、「産業構造が稠密でない自由貿易圏における国際分業のあり方」という今までにないスケールの新たな問題を抱えるに至っています。さらに、物流ステイタス情報管理、環境対応リサイクル物流システム、物流共同化(共同物流)、物流業務改善、物流コストの構造分析と低減方法等、グローバル環境下における様々な生き残り策を検討擦る必要に迫られています。このような問題の解決についてその一翼を担うべく、研究者及び企業人と研究交流を行い、上記テーマに関する情報の系統的収集と研究成果の発信活動を行っています。
生産戦略研究(製造業のビジョン動向調査)
 このテーマは、1983年より15年以上にわたり、早稲田大学がアメリカのボストン大学及びフランスの欧州経営大学院(INSEAD)との共同研究として行なってきた、製造業を対象とする大規模国際調査です。これは、製造業の戦略決定行動モデル(J.G.Miller)をベースに、自企業を他企業から差別からする競争優位項目についての認識や具体的な生産性能改善活動及びそれから得られる経営成果に関するデータをアンケート調査によって把握し、製造業の現状や今後の動向、生産戦略におけるそれぞれの地域の特徴を探ろうというもので、近年はその継続性とユニークな分析により国際的に一定に評価が得られ、上記の3カ国の他に、韓国、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、メキシコ、台湾、南アフリカ、中国など多くの国々の大学が参画するに至っています。
 当研究室は、本国際共同研究の日本代表組織となっており、得られた貴重なデータを用いて、工業先進国と発展途上国の戦略特徴分析や不況下における元気な企業の秘密分析等、興味深い成果を発表しています。
コンピュータ統合生産(生産情報システムの構築)
  日本の製造業の複雑化、生産システムの複雑化、大規模化に伴い、従来の人手による生産活動、管理活動は今や大きな限界に立ち至っています。多くの製造業では最近の情報技術の進化を背景に、コンピュータによる生産活動の統合運用を志向しており、いくつかの技術的成功を得ているところです。当研究室は特に、フレキシブル生産システムや石油化学製品生産システム等、典型的な大規模自動化生産システムの効率的運用を目指し、生産管理手順のソフトウェア化の問題に取り組んでいます。より具体的には、生産システムに関わるオペレーティングシステムの基本構造設計や、その性能評価などに携わっています。一方、コンピュータでカバーできる生産業務は未だに限られており、従ってこのテーマにおいては、人的資源の有効活用も同時に検討する必要があるとの認識から、スキルの限られた要員のマネジメント(例えば、身障者をどのように生産システムに位置づけるか等)の問題も扱っています。
生産/業務改善手順の開発と適用
  日本製造業は伝統的に生産活動の性能改善に力を入れ、多くの管理技術を産み出してきましたが、それらは主として工場の生産物流活動に関するものでした。製造業をトータルで見た場合、直接生産に関わる工場の機能もさることながら、製品開発部門や一般間接部門等も、大きな役割と一定のコストをになっています。このようない視点から、設計業務プロセスやホワイトカラー業務の設計とかいぜんの 問題に取り組み、汎用改善手順の開発とその適用及び成果の横展開法、また、ビジネス・プロセス・テンプレートの研究や業務遂行者のスキル開発管理法などの研究に携わっています。このテーマはコスト分析と併せて行う必要があり、活動基準原価計算(Activity Based Costing)による性能評価を志向しています。

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